NO-116 
四苦八苦(しくはっく)

  「このことで、あなたは四苦八苦でしょう」「もうどうにもならない。八方ふさがりで四苦八苦だ」というように、常用されるこの「四苦八苦」は、四と八を合計して十二苦だとおもっている方がよくおりますが、本当は八苦なのです。つまり四苦とは「生・老・病・死」の四つで「生」は生きていくということ、すなわち人生の事で、その人生という旅路の中で、私たちはだれもが、様々な困難を経験しますし、老・病・死も避けられぬ苦だといえましょう。そして、人生にはさらに次の四つの苦があります。


愛別離苦(あいべつりく)・・会うは別れの始めで、どんなに愛する者でも別離の時は必ず来る。

怨僧会苦(おんぞうえく)・・世の中、気の合うものばかりではない。怨み憎しみを抱くようなイヤな奴もあり、そんな人といや応なく付き合わざる得ないものも苦しみだ。

求不得苦(ぐふとつく)・・求めている物(こと)が、中々手に入らない苦しみ。それが耐えられると殺傷や盗みなどの犯罪となる。

五陰盛苦(ごおんじょうく)・・人間の心身を形成している五つの要素(肉体的精神的な五つの機能)から生ずる肉体的・精神的な様々な苦痛。


このように「生・老・病・死」の四苦と後者の四苦とを合わせて八苦となりますが、そこから、あらゆる苦しみ、どうしようもないことを称して「四苦八苦」と形容するようになったのです。

だが人間誰しも、迷いや苦悩のない人はありませんし、この八苦が偽りのない、ありのままの人生ではないでしょうか。そうした苦悩から脱却する為には、次の歌をよくかみしめてほしいものです。

自らの 分を知り得て 心安し 欲望は次の 欲望を生む


 

 

 

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■平成17年12月度「邪見(じゃけん)」
■平成17年11月度「慈悲(じひ)」

■平成17年10月度「四天王(してんのう)」
■平成17年9月度 「四苦八苦」

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